あまりの嬉しさに
ケータイを
落っことしそうになった。


かじかんだ自分の手に

「しっかりして!」
と頼み込んで。


「ヒメ、アンタ
今どこにいるのよッ!!」


ユッキの怒声で
耳が壊れるかと思った。


「あ、今神社の境内で…」

そこまで言って

自分の足元に
人影があるのに気づいた。


「もしもお〜し、ヒメ!?」

私の前に制服姿の
オトコノコがふたり。


合格祈願かな?

同じ学校の制服だ。


「あ、どうぞ」

おさい銭箱の前を
彼らに譲って

門の方に歩きだす。


「ヒメ、何かあったの!?」

「あ、ううん。
そっちに今むかって…」


そこまでしゃべって

誰かに後ろから
ケータイを取り上げられた。

「な…!?」


「へへへ…」

振り返ると
さっきの制服のふたりだった。


「な、何!?」

おおきな声で
しゃべってたから
気を悪くしたんだろうか。


それにしたって
ケータイを
取り上げなくっても…。


「今ウワサの
3年A組のHさんって
アンタでしょ?」


そのひと言に

私は
自分が立たされている立場を

知った。