ユッキはその歓声に
軽く手を上げて応えてみせて
そして
「次、いきますか」
男子の方にむかって
静かに歩き始めた。
ユッキは
自分のケータイを取り出して
「ヒメの机の中に
ナサケナイ汚物を
突っ込んだ犯人だけどぉ」
そのひと言に
男子が一斉に凍りつく。
「な…何だよ」
「ふふ」
ユッキは
ケータイのカメラを
男子のひとりにむけた。
「こ、こんなマネして
タダで済むと
思うなよッ…!」
男子の脅しに
ユッキの口の端が上がる。
「ど〜ぞ。
チェーンメールでも
裏サイトでも
ご自由にご投稿ください!
いっしょに
ウワサになりましょう!」
そう笑って
パシャ。
カメラのフラッシュをたいた。
「よっく覚えておきなさい!」
ユッキは
座っていた男子のイスの
股の間を踏みつけて
蹴り倒す!
「私の親友を
傷つけるようなヤツは
その舌を今すぐ
噛み切ってやるッ!」
ユッキの怒声が
教室中に響き渡った。
「わかった?」
「……」
「返事はッ!?」
「はい」
「声がちいさい!!」
「はいいッ!!!!!!!」
教室中が縮み上がる。
「わかればよろしい!」
ユッキが
アタマのチョークの粉を
何もなかったように叩いて
席についた。