凍りついた教室で
1時間授業が行われ


休み時間には
機嫌よく大声で笑っている
ユッキに

少しずつみんなの緊張も
解けてきたみたいで。


腫れモノに
触るかのようでは
あったけど

もう酷いイタズラや
冷たい視線を
浴びるコトはなくなった。


もうすぐ卒業で

こんな時期に

トラブルに
巻き込まれたくは
ないって

誰もが思っているようだった。


「昔も同じように
ユッキに助けて貰ったコトが
あったよね」

たかが席替えくらいでと
言うヒトも
いるとは思うけど。


「あのときは
理不尽にもユッキが
先生にこっぴどく叱られて」


「あ〜。そんなコトも
あったっけかな〜」

ユッキがトボケてみせた。


私は本当に
いつも頼もしい
この親友に助けられてきた。


誰かの為に
自分の身を危うくしてまで

己の正義を
貫き通す強さ。


ユッキがまぶしかった。


下校時刻になって。

「実はさあ」

ロッカーの前で
ユッキが
ボソッとつぶやいた。


「アイツにフラれてさあ。

以来、私ちょっと
目覚めたって言うか、さ」


「え?」

その深刻な様子に
ジュンジュンと
思わず顔を見合せてしまう。


目覚めたって…

「何に…かな?」

ちょっと
返事を聞くのが恐くて
ふたりして身構えた。


「やだ!
レズになったとかって
ゆ〜んじゃないからね!」

ユッキは勘がよかった。