よく見ると
オムライスの真ん中に
相合傘。
傘の中には
ふたりの名前。
「ジュンニイ…」
たったそれだけのコトに
私の瞳はみるみる
洪水になる。
そんなメールを
追いかけるように
電話が鳴った。
「ごちそうさま!」
ジュンニイのご機嫌な声が
私のカラダにしみ入ってくる。
ヒトの気も知らないで。
こっちはもう不安で不安で
涙が止まらない。
「もしかして
忙しい時間だった?」
ジュンニイが
私の様子を窺ってきた。
「…ジュンニイ以上に
優先させるモノなんて
今の私にはないよ…!」
「うん」
「毎日ちゃんと
声が聞きたい」
「うん。俺も」
もう涙で声にならない。
「でも、今は
仕事に集中したいから」
ジュンニイは
「ごめん」とつけ足した。
どうして?
そう聞きたかったけど
ウザいオンナだって
思われたくなかったから
「うん。わかった」
物分かりのいい彼女を
気取ってみたりしておいて
「返事はいらないから
私からはメールしても
いいよね?」
未練がましく
食い下がる私は
理解ある
オトナの女性には程遠い
まだまだ幼すぎの
オコチャマだった。
そして
ジュンニイが言っていた
急な訪問者の正体と
その目的を知って
その事実に
愕然とさせられる
コトになろうとは
恋愛の神様は
どこまで
私にイジワルをすれば
気が済むのだろうか。