バレンタインの翌日の
教室は

ヒトもまばらで


3年生は12時登校の日。

受験やバイトに
みんなそれぞれ忙しそうだ。


それでも
ジュンジュンとユッキの
ふたりは相変わらずで。


「コージさんにチョコ
ちゃんと渡せたの〜?」

にぎやかに騒いでる。


コージさん。

新入りくんて
そんな名前だったっけ。


自分の記憶力の
アヤフヤさが恥ずかしい。


「上手くいってるみたいだね」

ジュンジュンが
耳打ちしてくる。


勉強ができて理知的。

でもかなりの毒舌で
潔癖な性格。

自分の中できちんと
将来の設計が出来ていて

何事にも
ちゃんと順番を守って
進めていくのが身上。


私はユッキのコトを
ずっとそう思って
きたけれど。


「ユッキ。変わったよね」

ユッキと別れた直後の
電車の中

私はジュンジュンに
話しかける。


「ホントに」

ジュンジュンが頷く。


「もしダンナが浮気したら
ダンナを刺して私も死ぬって
よく言ってたのにね〜」


前の恋の失敗が
ユッキを変えた。


「ユッキはスゴイよ」