「『彼』が
ちいさい頃の話をするのって
初めてで
みんな凄くびっくりしてさあ」
ジュンジュンの顔が輝いた。
「秘書のアンナさんなんか
ミスターにわざわざ
国際電話かけて
報告してたもん」
頬を染めてそう語る
ジュンジュンは
幼い少女のようで。
ニマニマする
私の視線に気づいて
「ま、私の話なんか
別にいいじゃない!」
照れながら
私に水をむけてくる。
「ヒメの方は
交際が順調そうで安心したよ」
「…順調、なのかな」
思わず本音が漏れた。
「何か急に
忙しくなったみたいで」
「え…」
「あんまり連絡
できなくなるかもって
言われた」
「…それっていつの話?」
「今朝」
ジュンジュンが
私の答えに顔色を変える。
「何かココロ当たりあるの?」
「いや…。あ。そんな、ねえ」
ジュンジュンが
コトバを濁す。
「まさかオンナのヒト!?」
「それは違う!!!!!」
ジュンジュンが
私のセリフに
重ねるようにして
強く否定した。
「だったら…!」
「う〜ん」
ジュンジュンは
眉間にシワを寄せる。
「何か知ってるんなら
教えてよ!」
電車がカーブに差し掛かって
カラダがジュンジュンに
強くぶつかった。
「…ごめ…ん」