ジュンジュンが観念して
「はあああああ」
おおきく溜息をついて
私を見る。
「…アニキにさ
『彼』の個展会場の
空間プロデュースを
依頼しに行ったんだ」
『彼』の個展の…って。
「何、それ…?」
どうしてそういう話に
なってるワケ?
ジュンジュンが
目を伏せている。
「アニキだって
今抱えてる仕事が
たくさんあるんだよ」
これまで培ってきた
仕事先との信用を
なくすようなマネを
するワケないと
ジュンジュンが
必死に私をなだめてくる。
「ミスターにしつこくされて
困ってるって
レベルだと思うよ」
そうだよね。
「だいたい個展まで
あと1ヶ月ないんだよ!?
そんな悪条件
飲むバカはいないって!」
ジュンジュンは
力強く言い切った。
「…そうだよね」
そうなるように。
そうなるコトが
当たり前なのだと
自分にも言い聞かせるように
「大丈夫だよ!」
ジュンジュンは
私のアタマをひきよせて
ポンポンと叩いた。
「うん」
そう答えてはみたけれど
正直辛かった。
本当なら
泣き崩れたいトコロだった。
自分の彼女の
昔のオトコの作品を
引き立たせる仕事。
ましてやそのオトコが
想いを込めて創った
リアルな裸像を、だ。
そんな仕事を
依頼されるコト自体
オトコとして
どんなに屈辱的だろう。
ジュンニイ…。
ごめん。
私という存在が
またジュンニイを
苦しめていた。
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