「やめといて正解だよ」

ジュンニイが
あっさり却下した。

「こっちは氷点下でさ。
まつ毛も凍りそう。

もう最悪。

日本が恋しいよ」


と言いつつ
声がどこか弾んでる。


「傍に湯たんぽ
いないしね」

「うん…?」


「まあるくって

白くって
やわらかくって」

「は?」


「抱きしめたら
壊しちゃいそうな」


それって。

私〜〜〜!!!???

何か顔が熱くなってきた。


コレじゃ
ホントに湯たんぽだ。


「メールするから」

「え…」

「いっぱい写メール送るから」

ジュンニイの思わぬ申し出に


「あ…」

涙腺がゆるむ。

「淋しい思いさせてるよな」


そうだよ。
ホントにそうだよ。


「…本場のスウィーツ
たくさん撮って送ってね」


何度も何度も約束させて

電話を切った。

家に帰って
バレンタインの準備をする。

ママに習いながら
オムライスのタマゴを
何度も何度も焼き直した。


真っ赤なウィンナーを
ハート型に細工切りして
周りを飾る。

最後にケチャップで
大きなハートを描いて

完成。


お皿の周りには
チョコの文字で
デコレーション。

なかなか
オシャレに仕上がった。


味よりも見栄え重視。


「サンプル食品みたい」

ママが笑う。