ともに


重い足取りで
ジュンニイの
マンションにむかう。


ちょうど夕刊が
配られているトコロで

ポストに投げ込まれている
新聞名を
確認しようと

新聞配達員さんの
手元を覗き込んで


「あ」

思わず息を飲んだ。


髪が黒くなっちゃって
地味なジャンパーを着て

全く別人のように
なってはいるが


確かにそのヒトは


『彼』のお母さんだった。


「お嬢さん…!!」

お母さんも私を見て
驚きを隠せない。


「見覚えのある
マンションだと思ったら
お嬢さん達のマンション
だったんですね」


そのやわらかい笑顔に

変わったのが
外見だけではないコトを
実感させられた。

足元にはスニーカー。

まだ真新しいカンジで
意外とよく似合っている。


「配達員さん
だったんですか」

「いえ…」

お母さんは最近
この仕事に
転職したばかりなのだと
言った。