空港から帰宅すると
ママがご機嫌で
迎えてくれた。


「ジュンイチくんから
お土産届いてるわよ!」

「え!?」


予想もしていなかった事態に

リビングに急いで
行こうとして足がもつれる。


「お土産は逃げないわよ〜」


状況を知らないママは
ノンキでいい。


「げ…」

リビングに辿り着いて

思わず
わが目とわが母親の無神経さを
疑った。


テーブルの上に置いてある
その箱は
すでに開封されていて


「だってパパ宛てだったし」

中にはチョコレートと
ワインが入っていたと言う。


「パパに電話したら

すぐ開封して
ワインをセラーに入れろって
言うんだもん」


ママが言い訳する。


箱の中には
ワインの空き箱らしきものと

チョコの包み紙らしき残骸が
残ってるだけで。


「ほら!
ジュンイチくんのチョコ。
すんごくおいしいわよ」


すでに4分の1は
ママの胃の中に収まった後で


「…いい。いらない」

何かがっかりした。


「オトナなショコラ」

チョコの約束したのは
私なのに。


プレゼントは
受け取る瞬間と
箱を開ける瞬間が
ドキドキするんだ。


チョコなんて
ホントはどうでもいい。


ジュンニイが私の為に
使ってくれる
時間が、手間が、気持ちが

嬉しいのに。


そもそも家族宛てに
送ってくるなんて

何だか義務っぽくて

期待ハズレだ。