「絵は契約があるから
ちょっと無理だけど

サインなら快く
書いてくれると思うよ」


サインなんか
自分から進んでするような
人間には見えない。


私の知っている『彼』は

「はあ」とか
生返事だけして

そんなモノ
その辺に捨て置きそうだ。


「このサインはさ。

もう悪意あるウワサを
流したりしませんって

確約書みたいなモンだよ」


サインを貰った相手を
悪く言い広める
ヤツなんかいないと

ジュンジュンは
イタズラっぽく笑った。


「絵の価値が高騰したコトを
初めてありがたいと思ったワ」


「…でも」

「大丈夫。

『彼』はヒメの為なら
何でもしてくれるよ」


ジュンジュンは
自信満々で言いきった。


…でもそれって

何か『彼』に
借りを作るみたいで

凄く抵抗がある。


下校の時間になる頃には

どこで聞きつけたのか
色紙も増えに増えて

購買部で紙袋を
4つも買うハメになった。


「ジュンニイのマンションに
行かなきゃいけないから」


わざわざそう言い訳して
ジュンジュンを駅で見送る。


大量の色紙を抱えて
駅の階段を昇る
ジュンジュンの背中が
どこか嬉しそうで

ちょっと切なかった。






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