家族の目
久しぶりの
ジュンジュンの家。
ジュンニイに
ジュンジュンの部屋を
見せて貰ったとき以来だ。
ジュンニイとの
想い出のリビング。
「ヒメ〜、何か作ってよ」
冷蔵庫を覗き込みながら
ジュンジュンがキッチンから
手まねきしてきた。
「鶏肉と卵ばっかり…」
「オヤジは
カラダが資本だからね」
卵も白身だけしか
食べないという
タンパク質中心の
マッチョな食生活。
ウチとは
えらい違いだ。
何を作って出しても
ジュンニイが
おいしい、おいしいって
言ってくれてたのも
わかる気がする。
「納豆とキムチがある」
「ネギもあるけど」
キッチンの窓辺に
水耕栽培されたネギが
ひっそりと
自己主張していた。
「オヤジの趣味でさ〜。
あんなガタイして
ケッコー繊細なトコあんのよ」
ネギの横には
ちいさなハーブ達が
窓辺で晴れの日を待っている。
「納豆キムチチャーハンと
鶏のスープ」
メニューは簡単に決まった。
「さすがだね〜!」
私の料理する手際に
感心するジュンジュンを見て
ふと疑問が湧く。
「ジュンジュンは
お弁当、毎日ちゃんと
持ってきてたよね」
「オヤジかアニキが作って
もたせてくれてた」
「ウソ!?」
驚きだ。
「ジュンニイも
料理できるの!?」
思わず
聞き返してしまった。
「まさか!
冷凍食品の詰め合わせだよ」
市販の冷凍食品で
すし詰めになっていた冷凍庫に
目が点になった。
「でも、ふたりには
感謝してるよ」
ネギを
ハサミで切りながら
ジュンジュンは笑った。
「おいし〜!
ヒメってすご〜い!」
「ポイントは
ちょっとだけマヨネーズを
入れるコトかな」
「大学なんか行かずに
こっちの道に進んだ方が
よかったんじゃない?」
「う〜ん」
将来なんて
真面目に考えたコトなんて
なかった。