ただ、パパやママの
アドバイスに
従ってきただけで。


けっして
強制では
なかったけれど

その方が
安心できたから。


自分の意志で
将来を
選ぼうとしたのは

ジュンニイとの結婚が
初めてかもしれない。


「うまそうなニオイだなあ」

野太い声にふたりで驚く。


「オヤジ!」

ジュンジュンと
ジュンニイのお父さん。


「今日はえらく早いじゃない」

「急きょ夜勤が入ってね。
ひと眠りして出かけるよ」


そう言いながら
シェイカーに
水とプロテインを
入れていた。

相変わらず
肉体派なお父さんだ。


「ヒメちゃん
久しぶりじゃないか」

「お邪魔してます」

思わず正座をし直した。

「ヒメちゃんが
いるってコトは

ジュンのヤツも
帰って来てるのか?」


思わぬお父さんからの
ツッコミに

笑顔が固まる。


「…オヤジ〜」


「え、何?

ウソ、ケンカしたの!?」


どこまでも空気の読めない
お父さんだった…。


「アイツ何か
しでかしたとか?」

お父さんが
さらに突っ込んでくる。


「いえ、そんなんじゃ…」

「もおお!
オヤジはむこう行ってて!」

ジュンジュンが
追い払おうとした。


「何を言う!
放っておけるか!

アイツが今
どんなに落ち込んでるか
想像してみろ!」


心臓に一撃だった。