訪問
合鍵でドアを開けると
玄関にジュンニイの靴が
乱雑に脱ぎっぱなしに
なっていて
キャリーケースも
まるで侵入者を阻むように
存在感を強調していた。
ジュンニイが
帰ってきてる…!
開け放たれたままの寝室で
「ジュンニイ…?」
菓子パンを握ったまま
うつぶせになって
死んだように眠っていた。
その手から菓子パンを
そっと取り上げて
ジュンニイの顔に
ついていた菓子パンの屑を
ひとつひとつ取り除く。
「またヒゲが
伸びちゃってる」
でも、何か
この中途半端な生え加減が
気持ちいい。
手の甲ですりすり、する。
「ん…」
「あ、ごめん。
起こしちゃった?」
「…ん、う…ん」
まだ寝ぼけてる。
軽く頬を叩いて
「鍋焼きうどんでも
作ろうか?」
顔の傍でおおきな声を
出してみた。
「…ん」
「このまま
もうちょっと眠る?」
「…食べる…」
ジュンニイの手が
私の膝小僧を捉える。
「こら、寝ぼけてるの?」
ジュンニイの耳元に
話しかける。
「ん〜…」
頼りない声とは反対に
その手は
制服のスカートの中へと
侵入してきた。
「気持ちいい…」
「もちもち…してる…」
ジュンニイの右手が
私の内太股を堪能する。
「こら」
私は自分の両足で
ジュンニイの手を挟み込んで
それ以上の侵入を拒む。
「痛ッ、痛い!」
「目、覚めた?」
私が主導権をもぎ取った。