「顔中、菓子パンだらけだって
自覚ないでしょ?」
「あ〜…。パン」
「うどん作るね」
「海老のてんぷら入れて」
「時間かかるけどいい?」
「ん…」
ジュンニイはまた
マクラに顔を埋める。
私の太股を触っていたその手は
だらんと力なく
床に伸びている。
こんなに疲れ果ててまで
自分を犠牲にして
「…『彼』と仕事して
楽しい?」
本音が漏れる。
私の問いかけに
ジュンニイは黙ったままで。
「ジュンニイ?」
また寝ちゃったのかな?
ジュンニイの髪をかき上げて
顔を覗きこんだ。
ジュンニイの
口の端が少し上がって
「どうして?」
質問返しされる。
「だって…」
「ヒメは俺が
『彼』の仕事をするの、嫌?」
嫌。
そう即答したかった。
けど。
「返事は?」
ジュンニイはカラダを少し
起こすようにして
私の頬を右手で撫でてきた。
だって
「『彼』の顔なんて
見たくもないんじゃ…」
ジュンニイは
目を伏せる私を引き寄せて
唇にキスをする。
「『彼』に会うコトなんて
ないよ。
俺が扱ってるのは
『彼』の作品であって
『彼』じゃないから」
そう安心させた。
私のヒザをマクラにして
今度は私の手に
たくさんのキスを浴びせる。
「…どうして
ジュンニイなの?」
ジュンニイじゃなきゃ
いけなかったの?
ジュンニイのキスが止まる。