カラダのカンケイ


マンションと会場を
往復している時間が
勿体ないと

ジュンニイは
個展会場の傍にあるホテルで
寝泊まりするコトが
多くなっていった。


このマンションは
元々私の大学の
利便性を考慮して
買ったモノだったから

ジュンニイの事務所や
都心に出るには
車で小一時間はかかる。


緑が多くて
物価も安くて

生活するには
最高のロケーション
だったけど。

ひとりでいると
食事も面倒なモノで

あれ程
非常食扱いにしていた
レトルトをチンして食べた。


…味気ない。


宅配されてくる
ジュンニイの為の牛乳も
結局は全部
私が飲んでいる。


新聞を取り入れて

牛乳を消費して

郵便物に
宅配の受け取りに

グリーンの世話して

掃除して。


…何かすっかり
留守番娘だ。


「ジュンニイもちゃんと
食べてるんだろうか」


「だったら
差し入れに行こうよ」

ジュンジュンはいとも簡単に
誘ってくる。


今日のジュンジュンは
とっても機嫌がいい。


『彼』に書いて貰った
サインを配り終えて

充実感でいっぱいの様子で。


「明日はウチの学校

高校受験で
登校禁止の日だし」


ちょうど
退屈だなあ〜って
思ってたトコだったと

はしゃいでいる。


「差し入れかあ」

ちょっと躊躇する私に


「大丈夫。

現場に『彼』の作品が
運び込まれるの
もっと先だから」

作品のモデルだなんて
誰も気づかないと

太鼓判を押してみせた。