朝早くに起きて
ママにアシストして貰って
お弁当を作る。
ジュンジュンも
早くから
わが家に来て
ママと出社前のパパと
4人で朝食をとって
弁当作りの応援を
してくれてるのだが。
哀しいかな
ジュンジュンはこういうとき
戦力には数えられない。
キッチンで
チャチャを入れてくる
ジュンジュンを
リビングに追いやった。
「ジュナちゃんも
お料理覚えれば
彼氏なんか
すぐに出来るのに」
ママは
要らないコトばかり言う。
ジュンジュンは
ゲームをしながら
「20年待ちますから
ヒメママがカッコイイ美少年
私の為に産んでくださ〜い」
お願いしていた。
「あら、じゃ頑張って
みようかしら」
…ジョークにしても
恐ろしい。
「足元、気をつけて」
美術館の裏にある倉庫。
そこでは
個展で使うセットの
準備が進められていた。
「ずいぶん大掛かりなんだね」
「何作ってんだか…」
ジュンジュンが溜息をつく。
奥で黙々とセットを
点検している
ジュンニイを見つける。
みんなと同じヘルメットを
被っているのに
何故か目立って見えるのは
彼女の欲目だと
自覚はしていた。
「そこ違う!」
「わずかな
曲線の歪みが
光線の加減を変えるんだ!」
「もういい!
俺が削り出す!」
トーンを抑え気味の
ジュンニイの
吐き捨てるような言い方が
ちょっとコワかった。
変なタイミングで
来ちゃったかなあ。
何か声をかけにくい。
「アニキ〜!
ヒメがお弁当作ってきて
くれたよ〜!」
こういうときの
ジュンジュンは頼もしい。
「お!」
ジュンニイと目が合った。
苛立ち気味だった
ジュンニイの顔が
イッキに和んで
「お昼にするか」
笑顔で傍に
寄ってきてくれた。