「ゴボウも人参も
美味かったよ」
「鶏のから揚げ
また食べたいな」
「卵焼きも忘れないでね」
若いスタッフにも
声をかけられて
「はい!」
気持ちよく
送り出して貰った。
「いいヒト達なんだよね」
「なのにアニキってば。
もっと要領よく
立ち回れないのかな」
溜息をつきながら
廊下に出た。
窓越しに
ジュンニイの姿が見える。
ミスターが何やら
ジュンニイに訴えていて
ジュンニイは
そんなミスターを
シカトしているようで。
なんだか
ハラハラした。
「ジュンは
最高にクレージーだって
毎日叫んで
帰ってるらしいワ」
ジュンジュンが
苦笑いした。
「意地になってるんじゃ
ないのかな。
自分の実力を
みせつけてやろうって」
「アニキにとっても
これからの仕事に関わる
大勝負なんだよ。
作品への理解あっての方向性。
それ以上も
以下もないって」
そう信じたい。
けど。
重い足取りで
出口にむかう。
「ヒメ!」
不意に呼ばれて振りむくと
ジュンニイが
私達を追いかけてきていて
「コレ渡しとく」
ホテルのカードキー。
「いつでも
来てくれていいから」
「何しに?」
ジュンジュンが
からかってくる。