「おまえ、うるさいんだよ」

ジュンニイはジュンジュンの
ヘルメットを目深にかぶせて
背中をむけさせた。


「手、洗ってきた」

おおきな掌を
子どものように私に見せて

「ん…ッ」

ジュンニイは
私を強く抱きしめながら
唇を激しく重ねてきた。

何だかやっぱり
フランスから帰ってからの
ジュンニイはどこか違う。


って
感激するより

すんごい
恥ずかしいんですけど
おおおおお!!


「も〜、い〜かい?」

ジュンジュンの問いかけにも
おかまいなしで
キスを続けてる。


「ちょ、ちょっと
ジュンニイ…!」

必死で唇を離した。


「息、できないッ!!」


ジュンニイの腕の中で
腰砕け気味になっている
私を見て

ジュンジュンが大笑いしてる。


「チョト、イデスカ〜?」


調子っぱずれなその日本語に
ジュンニイが
カラダをこわばらせた。


「ハナシ、マダ
オワッテナイネ〜」

ミスターは
私にそうウィンクして

ジュンニイを
引きずっていく。


「Bob! Wait! Stay!
Please〜!
Please〜!!

ヒメ〜〜〜〜〜!!!」


ジュンニイの情けない声が
廊下に響いて


「着替えがなくなってきた!

洗濯モノ頼めるか
なああああ〜!!?」


私の返事を聞くコトもなく
廊下のむこうに
消えていった。


「…ジュンニイって
ミスターのコト
ボブって呼んでたね」


「空港でもそう呼んでたよ。

そう呼び始めたの
フランスから帰ってから
くらいじゃないかなあ?」


「案外、仲は悪くないのかな」


ちょっと安心した。