テーブルの上には
パソコンがひとつ。
A3サイズの紙と
サインペン。
セロテープに、付箋に
愛用の特注クリップ。
ジュンニイの仕事部屋と
同じ様子だ。
キングサイズのベッドに
サイドテーブルがふたつ。
サイドテーブルの上には
ウサギのマークの
「エロ雑誌…」
「何、コレ〜。
アニキ、こんなモン
見てるの〜?」
ジュンジュンが絶叫する。
「しかも海外版…」
ちょっとアタマが
クラっときた。
表紙の金髪グラマー。
こういうのが好みなのかな。
「……」
自分の胸と比べて
哀しくなった。
「こんなのホテルの部屋に
置きっぱなしにするなんて。
掃除に来てくれる
ホテルウーマンに対する
立派なセクハラだよね〜」
ジュンジュンが
鬼の首を取ったかのごとく
はじけてる。
「…事務所のヒトが
置いてったんじゃ
ないのかな。
ジュンニイのマンションで
こんなモノ置いてるの
見たコトないもん」
一応、フォローはしてあげた。
妹の前ではやっぱり
カッコつけさせて
あげなきゃ、な。
なのに
「浮気されるより
いいんでないの?
彼女には逢えず
エロ本もダメなんて
言ってたら
オトコは地獄よ」
…ジュンジュンは
わかったような口をきく。
【雑誌は処分しました。
恋しくなったら電話ください】
そう書き残してふたり
ホテルの部屋を出た。
エレベーターの中で
ジュンジュンの笑いが
止まらない。
「だってあれじゃ
まるでデリヘル嬢からの
メッセージみたいじゃない?」
「デリヘルジョーって、何?」
私の素朴な疑問に
ジュンジュンが
ふたつ折れになって
笑い転げた。