「じゃ、自分でどうぞ!」

手で掴んで
卵焼きを憎ったらしい口に
突っ込んでやる。


ぱくっ!

「え…」

ジュンニイはコトもあろうか
卵焼きだけじゃなく
私の指ごと口にくわえて


「食べちゃった♪」

いたずらっぽく
私の顔を覗き込んできた。


私の指についた油を
丹念に舐めとって

「ごちそうさま」

って。

何だその勝ち誇った顔は
〜〜〜ッ!!!!!!


大のオトナをつかまえて
こういう表現は
不適切すぎるけど


かわいすぎる…!!!!!

「…もお、自分で食べて!」

ベッドの奥に逃げ込む私に

ジュンニイは
ドライヤーの風を当てて
無言の抗議をする。


「…わかった!
わかったから!」


私は身を乗り出して

お弁当の中から
種なしブドウを
ひと粒取り出した。


「はい。ポチおいで〜。

大好きな
でっかいブドウだよ〜」


ジュンニイは口の端を
片方だけ上げてみせて。


「誰がポチだ」

そう答えて立ち上がる
上半身ハダカのジュンニイは

どこかセクシーで。


「わん。わん。わん」

覆い被さってきた
ジュンニイに
たくさん顔を舐められる。


香水の香りがしない
ジュンニイは
どこか野生っぽい。


「ポチ、待て!」

飼い主の制止も聞かない
このハダカの野良は

皮のついたままのぶどうを
そのまま食べてしまった。


「せっかちなんだから」

「犬だもん」

「減らず口〜」


ジュンニイの口に
もうひと粒
皮がついたままのぶどうを
突っ込んでやる。


「じゃ、飼い主にも」

ジュンニイが
私のアゴをつまんで

ひと噛みしたぶどうを
口移しで
私の口の中に
押し込んできた。