ジュンニイは
笑ってみせたけど。


それは
話し出してはみたモノの

ジュンニイが
望んでいたような
リアクションを

私がとれていなかった
という意味で。


話したコトを
とても後悔してると
言っているようなモノだった。


ジュンニイは
この場を誤魔化すように

私に丹念にキスをする。


「…そうだよね。

私みたいな子どもに

そんな大事な話
出来ないよね」


そんなセリフを
ぶつけてしまうコト自体

私は子ども以外の
何者でもなかったのだけれど。


「もう、いいよ。
いってらっしゃい…」


私はベッドの隅に
逃げ込むようにして
まるくなる。

もうそれ以上
何かリアクションして

自分のバカさ加減を
暴露したくはなかった。


長い沈黙の後。

隣りにジュンニイの
気配がして

そのカラダの重みを
背中に感じる。


「…17年もの間
誰にも話してこなかったんだ」


「もういいよ。
何も言わなくて。

私は自分のふがいなさに
自己嫌悪してる
だけなんだから」


ジュンニイのカラダを
はねつけて


「仕事の約束あるんでしょ」


うつむいたまま
ジュンニイを
足で追い払った。


「はああああああああ」

ジュンニイの
おおきな溜息が聞こえる。


わかってるよ。

またジュンニイを
困らせてるって。


だけどどうしたらいいか
もうわからない。