「大好きな彼女の為に
頑張っちゃうのもわかるけど」


「…手伝うのか?
保育園にむかうのか?」

糸ノコを持った
ジュンニイが威嚇する。


「…トムノスケ〜。
保育園行くぞ〜」

「ジュン。ばいば〜い!」

親子がさわやかに
去っていった。


「…何、ニヤニヤしてんの?」

ジュンニイが照れくさそうに
ツッコんでくる。


「え…」

私、ニヤついてた?

そりゃあ
ニヤつきもします。


だって

「結婚するって」
「そうだよ?」


ジュンニイは
今までも
自分の知り合いに
私のコトを紹介するのに

「婚約者」って
コトバを選んでいたけれど

それはあくまで

高校生と真剣に
つき合っているって
知らしめる為の
方便なのかなって

ちょっと思っていたから


「結婚するんだよね」

「何度も確認するな!」

ふふふ。

凄く嬉しかった。


「バカなヤツだなあ」


ジュンニイが
作業の手を止めて

ニヒルに笑って
手まねきをする。


子犬のようにシッポを振って
ジュンニイの後を追った。