「でもね。

ヒメへの気持ちは
ちゃんとヒメパパには
伝えてきたつもりだけど」


私の知らないトコロで
根回しはしっかりされていて

話は着実に
前に進んでたんだ。


同棲なんか無理だって
半分夢物語と
どこかあきらめてたけれど。


「ヒメといろいろ
あった時期もさ。

上手く気持ちが
整理できなくてと
素直に打ち明けたら」

パパはそれ以上
何にも聞かずに

文字数限界いっぱいの
励ましメールを
返してきたという。


「いいお父さんだよな」

「うん」


大好きなパパです。


安心したら今度は何だか

「緊張してきちゃった」

「大丈夫?」

ジュンニイがやさしく
耳元に囁いてくる。


「ちゃんとパンツ穿けてる?」


ワンピの裾をつまんでいる
イタズラなその指に
力いっぱい返事を返した。

「痛ッ!!」

「お客さん?」

ドライバーさんが
その声に驚いて

ミラー越しに
こっちを見てる。


「あ、何でもないです」

女子高生スマイルで
その場を取り繕って

私はドライバーさんに
先を急がせた。


ジュンニイが私に
少しだけ
もたれかかってきて

ドライバーさんから
見えないように

そっと私の手を
両手で握りしめる。


「吉と出るか凶とでるか」

サイは投げられた。