不思議だ。
ジュンニイとの
結婚生活はいろいろ
思い描くコトが
あったりするのだけど
『彼』との生活なんて
想像もつかない。
しあわせという文字が
誰よりも似合いそうに
なかった。
「今日はとっておきの
リュイナール
開けちゃおうかな」
ジュンニイが初めて
この家に来たときは
パパはビールを出していたのに
それがわずか数ヵ月で
超高級シャンパンを
おしげもなく
開けようと言うのだから。
「パパ。
飲ましちゃダメ!
明日の仕事に
差し支えるから」
「もう嫁さん気取りか〜」
あのパパが
私にツッコんできた…。
「1杯ぐらいなら」
ジュンニイがパパを
喜ばせる。
ジュンニイと
パパとママ
そして私。
みんなで仲良く笑っている。
しあわせだ。
こんなにしあわせで
本当にいいんだろうか。
パパとママに見送られ
ふたりで玄関を出る。
ジュンニイは
表札を触りながら
「ヒメミヤ ジュンイチ」
なかなか
ゴロもいいじゃないと
笑ってみせた。
「これで俺もヒメちゃんか」
「名字。
ホントに変えちゃうの?」
「ちいさい頃から
名字が
コロコロ変わってたから
違和感ないよ」
今の名字が一番長くて
それでも8年くらいだと
ジュンニイは笑った。
「7つめの名字で打ち切りだ」
7つめって…。
「6人のヒトと
結婚したってコト?」