「やだ、監督さん!
ヘルメット被ってないから
一瞬誰かと思っちゃった〜♪」


「ジュナちゃんはキツイな〜」

そう言って

監督さんは
かなりの後退をみせている
薄いアタマを
自分で撫でてみせた。


…ホント誰だか
わからなかった。


でも
何で監督さんまで
いるんだ?


「ココ、貸し切りだよね?」

「個展会場の
完成の打ち上げ
パーティーなんだって」

「え?」


パーティー???


見せたいモノがあるって

ジュンニイは
メールしてきたと
思うんだけど…。


自分のケータイを確認する。


「ヒメ!」


耳触りのいい声に振りむくと

ジュンニイが満面の笑みで
迎えてくれてて

私ってば単純だ。


メールの書き方がとか
文句ばっかり言ってても

結局はこの笑顔に
誤魔化されてしまっている。


ジュンニイが
私の手を自分の手に
からめて手を繋ぐ。


「あ〜ら。ヒメひゃん」

ワインを片手に赤い顔。

マユコさんが
だいぶデキあがっていた。


「何かマユコさん
解放されたってカンジだね〜」

ジュンジュンが
耳打ちしてくる。