そうだよね。
当然だ。

誰よりもその内容が
気になっているハズだった。


「何を見てもちゃんと
冷静でいられるから…!

イチャモンつけたり
しないから!!」


「……」

ジュンニイは
返事をするのを躊躇してる。


ジュンニイも
ジュンジュンが
『彼』に想いをよせて
いるんだって

ずっと感じていたに
違いなかった。


大切な妹の
報われずにいる恋。

ジュンニイと
特別深く突っ込んで
話したコトはなかったけれど


ジュンニイはどう思って
いるんだろうか。


自分の婚約者の前のオトコ。

そんなオトコと
大事な妹が結ばれて

気分がいいワケはない。


「個展会場見に行くって?」

監督さんが傍に寄ってきた。

「もう一回
俺も会場見ておきてぇなあ」

監督さんのひと言に
その場にいたみんなが
同調する。


「…じゃあ
みんなで見に行きますか」

ジュンニイのひと言で
場がイッキに盛り上がる。


「…ヒメに一番に
見せたかったんだけどな」


ジュンニイが私に
小声で愚痴った。


「私も一番、みんなも一番」

私のフォローに
ジュンニイが苦笑いする。


ジュンニイの仕事を
一番に見せて貰えるのは
凄く嬉しいコトだった。

みんなを蹴散らしてでも
ひとりでその光栄を
噛みしめたかった。


でも
それが私を描いた
『彼』の作品となれば
話は別で


本音を言えば

見たくなんてなかった。


一生懸命
ジュンニイが
頑張ってきた全てを

否定するつもりは
なかったけれど


やっぱり今の私にとっては
苦痛でしかない。