「…そっか」

裁判を待つ囚人の気分だ。


溜息をつく私に

「大丈夫だよ。
アニキを信じてやってよ」

ジュンジュンは
明るく励ましてくる。


「ジュンジュンは
もう作品を見たの?」

「昔の作品は画像だけ…」

「どんな絵だった!?」


身を乗り出して
質問を被せてきた私に

ジュンジュンは
ちょっとヒキ気味で


「うん。いや。その、ね。」

説明しにくい絵だと
アタマを抱えた。

抽象的な絵を描いてきた
『彼』だったから

それはもっともな答え
だったのだけれど。


「…ただね。

どれもちょっと
切なくなるような絵
だったけどね」


自分だから
そう感じてしまうのかもと
ジュンジュンはつけ足した。


「今も昔もずっと
『彼』の片想い
だったんだなって

改めて
実感させられるよ」


「……」

自分から質問しておいて
どう返事をしていいのか
わからなかった。


私はその絵が
世の中に出るコトで

自分の生活に不利益が
出るんじゃないかって

そんな不安ばかり
抱えてた。


『彼』の気持ち。

受け入れようもない
そんなモノを
今更見せつけられても…。