「は、あ〜〜〜」
ネットの履歴を消して
自分の部屋に戻る。
ママに貰った
クマの絵がついたあの箱は
封を開けるチャンスも
まだまだなさそうで。
「別に…
抱いて欲しいとか
そういうんじゃ
ないんだけど」
何か切ない。
「ヒメのココロもカラダも
しっかり俺の記憶に
刻みこんであるから」
想い出だけじゃ
心許ないよ。
ずっと傍にいて
いつも抱きしめてて
欲しいのに。
逢いたい。
声が聴きたいよ。
でも
何よりも
私を優先してきてくれた
あのジュンニイが
仕事に集中したいと
言っているのだ。
私に逢いたいのは
ジュンニイだって
同じハズだった。
《カラダ、壊さないでね》
いいコぶって
デキたオンナに見られたくて
こんなコトバしか
メールできない私は
やっぱりどこまでも
臆病者で。
もし『彼』と
つき合い続けていたら
こんな気持ちなんか
知らずにいたかもしれない。
『彼』の前では
少なくとも
もっと自分をさらけ出せてた。
『彼』には自分のコトを
どう思われようが
知ったコトではなかったから
気も遣わなかった。
何も恐くはなかった。
別れさえもありえないと
勝手に思い込んでいた。
遠慮も
思いやりも
そこには
存在しなかった。
愛してるって
言ってあげなかった。
誠実にむかい合って
あげなかった。