ベッドの中にも

ごみ箱の中にも

そういう営みを持った
形跡もなく


「…何かひたすら
抱きしめられていたような」


私が泣きやむまで
寝静まるまで

ただずっと…。

ハダカの私を
このエロなオトコが
何もせず…?


「……」

ジュンニイの指を
舐めてみた。


…何の味もしない。


「う…ん」

ジュンニイが寝返りをうって


「…びっくりした」

自分の行為に
恥ずかしさと
後ろめたさを感じる。


「案外紳士だったんだね」


手触りのいい
やわらかな
ジュンニイの髪を撫でて

私はベッドから抜け出した。


羽織っていた
ジュンニイのシャツの
ボタンをふたつ程
留める。


袖がめちゃくちゃ長くって
折っても折っても
まだ長かった。


冷蔵庫から
ミネラルウォーターを選ぶ。

いつのまにか
夜が明けていて。


「仕事に行かなくて
いいのかな」

時計を見た。


「ジュンニイのコトだから
ちゃんと目覚まし
かけてるとは思うけど」

朝食の支度をしようと
冷蔵庫から食材を取り出して

テーブルの上にあった
読み損ねてた夕刊に

目を奪われる。


「『彼』の記事だ」