1面で明日から始まる
『彼』の個展が
紹介されていた。
夕刊とはいえ
「1面に載るなんて」
驚きだ。
『彼』のお母さんも
当然目にしてるハズだった。
そこには
海外からたくさんのVIPが
『彼』の個展の為に
来日するコトが
紹介されていて。
著名な政治家。
有名な海外アーティスト。
王室のメンバー。
世界のセレブリティが
一同に集まってくるという。
「…マユコさんが
失敗を恐れていたのも当然だ」
あの個展が
『彼』の信奉者に
一般の人々に
どう評価されるのか。
コトの重大さに身震いする。
でも。
「もう終わったコトだ」
今更、後悔したって
始まらない。
ジュンニイも
この仕事から
これで
解放されたんだし。
「もう忘れよう」
そう自分に
暗示をかけて
ジュンニイを起こしに
寝室に戻った。
無防備な
ジュンニイの寝顔。
起こしに行ったくせに
気がつくと
あたたかいその懐に
また潜り込んで
しまっている。
ジュンニイの心臓の音。
ジュンニイは
私のリアクションを
いったいどんな風に
解釈したのだろう。
あの作品を見て
『彼』が私を
どんなに好きで
思いつめていたのかを
嫌という程
思い知らされた。