もうどれくらい
泣き続けただろうか。


ジュンニイの手が
私の髪を櫛毛して


「…そうだよな。

何も知らないのは
不安を煽るだけかもな」


私の知らないコト?


「知らずにいた方が
いいと思ってたから」


そう言って
ジュンニイは

私のオデコに
ゆっくりひとつキスをして


私の顔を見た。


「『彼』に逢ってみる?」


ベッドサイドに置いてあった
ケータイに手を伸ばして

ジュンニイは
メールを打ち始める。


「逢いたくない!
逢いたくない!!」


慌ててジュンニイの
メールを打つ手を
阻止しようとした。


けれどジュンニイの腕の方が
私のソレよりずっと長くて

無駄な抵抗に終わる。


「何考えてるの!?」


ワケわかんない。


「本気で私を試そうと
思ってるの!?」


「…試すって、何を?」


ジュンニイの質問返しを

ケータイの着信音が
邪魔をした。


「アポ、とれたよ」

「……」


「今からいっしょに
逢いに行こう」


本気…なんだ。


「ヒメにも、知る権利が
あったのかもしれない」


「今ここで
ジュンニイの口から
聞きたい!!」


私の声が部屋に空しく響く。


ジュンニイは
静かに溜息を落として


「…俺が何を言っても

まだ裏があるんだろうって
ずっと疑い続けるんだろう?」


私から視線を外した。