目を開けると
濡れたジーンズの裾から
ジュンニイの足の指が見えて

『彼』の爪とは全然違う
なんて

泣きながら
関係ないコトを考えて。

妙な現実逃避を
始める自分がいた。


「ヒメ…」

ジュンニイが私を
抱き起こして

私の顔に貼りついている
髪の毛をかき上げる。


「悪かった」


私の目を見てまた謝った。


「…うん」

首元に伸びてきていた
ジュンニイのその手に
キスして

顔を埋めて


答えた。


それを合図にするように

ジュンニイの手が
濡れたシャツから
透ける胸の突起を
探り当てる。


そのままボタンを
片手でひとつ外して

ジュンニイは私の顔を
覗き込んできた。


「……」

続けてもいいって

そういう意味じゃ
なかったのに。


シャツの隙間から
ジュンニイの手が
入ってくる。


昨夜
誘っていたのは私の方で

こうして貰うのを
望んでいたハズだったのに。


ジュンニイの
指使いを感じながらも

この期に及んで
拒否したいなんて

ムシがよすぎる話だった。


濡れたシャツが
ジュンニイの腕に

淫靡に絡みついている。


「…ジュンニイ…!」


粘着質な音が
私の自己主張を
封じ込めていった。