卵の殻のような
大輪の蓮の花のような
繭のような
モデルの周りを
取り囲んでいるソレは
近くで見ると
無数の羽根で出来ていた。
色とりどりの手跡に汚された
片翼の天使が
ベビーピンクの羽毛の中で
苦しんでいる。
切ない表情。
やさしく癒されている
ハズなのに
天使は消えない手跡に
苦しみ続けていた。
「自分のモノに
してしまったコトが
『彼』自身を苦しめて
いたんだろうね」
リアルに
創れば創るほど
切ない現実が強調されて
私は自分を
見失いそうになる。
「『彼』の気持ちを
ヒメに伝えてやらないのは
フェアじゃないと思った」
ピュアな作品達が
ワタシヲセメル。
『彼』の気持ちに鈍感すぎた
ワタシヲセメル。
「ジュンニイ…!」
涙が止まらない。
もう
何も考えたくない。
何も知りたくなかった。
「ジュンニイは
私が好きなんだよね?」
「…ヒメ」
「だったらぎゅっと
私をつかまえていて!」
私のココロが
暴れださないように
ふたりの間に
誰も入り込まないように
「ちゃんと抱きしめて!」
踏み込んでしまった
『彼』の心象風景の世界に
飲み込まれそうな自分が
恐かった。