いつ以来だろう。
雨の日に話したのが
もう大昔のコトみたいに
思える。
ドアの右手側
おおきな天蓋付きのベッドが
目に入ってきた。
「ちょっと体調が
優れなくって
ベッドの上からで
すみません」
懐かしい『彼』の声。
ジュンニイに
自分から話しかけてる。
足元のシーツが乱れていて
素肌の上に羽織っている
ローブの裾から細い足が
イヤラシク覗いていた。
キスマークが
足の上の方まで続いている。
ジュンニイはさりげなく
その足をシーツで隠しながら
『彼』に近づいていった。
「話してて、平気?」
「ええ」
おおきなクッションを
背もたれにして
ベッドの中で
『彼』が力なく座ってる。
凄い痩せてて
驚いた。
「たくさん電話で話したから
初めて会う気がしない」
そう言いながら『彼』は
折り鶴を折り続けてる。
「なかなか
器用なもんでしょ」
ジュンニイに
折り鶴を見せて
「ふう〜」
力なく吹き飛ばした。
ベッドの周りには
無数の折り鶴。
「結構
待たしちゃったみたいだね。
あのオジイチャンの
相手してたら
こんなに鶴
折れちゃったよ」
か細い指。
今にも折れそうだ。
ジュンジュンが
指にやさしく
扱いやすい紙に
こだわっていたのも
わかる気がした。