「どういう意味だ。

悪いが俺はそこまで
オジサンじゃない!」


ジュンニイの手が
『彼』のアタマを小突いた。


へへへと笑う『彼』は

私が見たコトもない
子どものような
笑顔を見せて。


もしかしたら
私が知らなかっただけで

こちらの方が
『彼』の本質に
近いのかもしれない。


「でもさ。

許されるものなら
もう一度生まれ変わって

後悔だらけの人生を
最初からやり直したいな」


ふうううう。

折り終えた鶴を


『彼』は

また手放した。


「…まだ間に合うよ」

ジュンニイのコトバに
『彼』は簡単に首を振る。


「無理だよ。

自分のカラダのコトは
自分がよく知ってる」


「……」

それがどういう意味なのか。


私は聞かなかった
フリをした。


風邪くらいで
何を弱気になってるんだって

その思いでアタマを埋めようと
あがいている自分がいる。


「だからさ。

アイツに
俺を産んで貰ってよ」


…え。


『彼』の
とんでもない提案に

私はジュンニイと
思わず目を見合わせる。


「生きていく意味を
見つけた気がする」


そう言った舌の根も
乾かぬうちに

『彼』は何を
言い出しているのか。


「親孝行な子どもになってさ。

アイツをずっと
守ってやるんだ」