甘い香りに振りむくと
ジュンニイが
やさしく私を見つめていて。
「…ジュンニイ」
ジュンニイは何も言わず
私のアタマを自分の胸に
抱きよせて
「ごめんなさい…」
声にならない私の想いを
受け止めてくれた。
ジュンニイは私のアタマに
ひとつキスをして
「逢ってあげてくれる?」
そう囁いた。
YESともNOとも
答えるコトが出来ず
ただジュンニイの
ジャケットの背中を
私は強く掴む。
ジュンニイは
私の背中をぽん、ぽん。
2回叩いて
私を連れて
『彼』の傍に
近寄っていった。
「ここにいるよ」
ジュンニイが
横になっている『彼』の前髪を
かき上げる。
『彼』は声のする方に
笑顔をむけて
自分の額にある
ジュンニイの手を掴まえる。
「大事にしてやれなくて
ごめん。
許して欲しい」
私へのメッセージを
ジュンニイに託した。
近くで見おろす『彼』は儚げで
死を覚悟しているかのような
懺悔にも似たそのコトバに
全てが集約されているような
気がして
身を切られる。
「大事にしてやれなくて
ごめん。
許して欲しい」
そのセリフは
私のセリフだ。
信じてあげれなくて
愛してあげれなくて
傍にいてあげられなくて
ごめん。
「…う」
自分の不甲斐なさに
気が遠くなる。