私は
自分を見失わないように
ジュンニイの手を探して
それに応えるように
ジュンニイは
私の手を握りしめ
その手にキスをした。
涙が止まらなくなっている
私に
ジュンニイは微笑みかけて
『彼』の名を呼ぶ。
「気持ち伝わってるよ」
そう言って
ジュンニイは
『彼』の手を取って
私の手と重ね合わせて
「…え」
ふたりの手を
自分の両手で
力強く結ばせた。
「ウソだろ…?」
『彼』は初めてその目を開く。
「これは夢の続き?」
ちょっと笑ってみせて
そのまま
眠りについた。
「大丈夫。
薬が効いてきたみたい」
看護師さんの声に
胸を撫でおろしてはみたモノの
『彼』の冷たい手が
これが夢ではないコトを
私に知らしめる。
やがて『彼』の手が
力なく私の手を解放して
コレガ最期ノ別レ。
そんな予感を打ち消したくて
私はその場を立ち去った。
「また元気になって
俺様に戻るに
決まってるんだから」
こんなにも
不幸が似合う人間を
神様は簡単に
殺したりはしない。
強がってみせたのに
「I deeply appreciate
your kindness」
ミスターが私に
すれ違いざま声をかけてきて
「感謝してるって」
ジュンニイが
その意味を訳してくれた。