「何かあったの?」

「あ…」

「クッキーのコトじゃなく」


ジュンジュンには
全てお見通しだった。



「ふたりして
こんな時間に
こんな場所にいるなんて
凄く不自然だからね」

その通りだ。


ジュンニイは
またしても私のコトで
今朝の仕事の予定を
キャンセルしていた。


「個展を観たコトと
何かカンケイあるのかな?」

ジュンジュンが
私の顔を覗き込んでくる。


「ジュンニイは
何て言ってるの?」

「…らない」
「ん?」


「ジュンニイが
何考えてるかなんて
わかんない…!!」


私の答えに
ジュンジュンの表情が
硬くなる。


「昨日と同じ洋服着てさ。

仲良くお泊まり
してたんじゃなかったの?」

「う…」

思い出したら
何かまた涙が湧いてきて


「ちょっと。ヒメ!?」

親友の胸で
またひと泣きしてしまう。



「ゆっくりでいいから
ちゃんと説明してよ。ね?」

「う。…あの…ね」

バスルームでの出来事以外の
コトの顛末を

私はジュンジュンに
聞いて貰った。


「『彼』に逢いに来たのかぁ」

「ジュンジュンに
知らせようと思ったけど」


そんな余裕はなかったし…。


気がつくと私は
言い訳ばかりしていて

ジュンジュンは
ずっと黙り込んでいた。


「…逢わない方が
いいよね?」

私は同意を求めた。


ジュンジュンは
ちいさく溜息をついて


「タイミング悪かったかも」

「え?」