「…お粥、作んなきゃ」
ジュンジュンが
涙を拭いた。
「風邪ならお粥より
ショウガ湯のが
いいと思うよ。
部屋でもすぐに
あったかいの
作ってあげられるし。
簡単だから」
「私でも
作ってあげられる!?」
ジュンジュンの顔が
パッと明るくなる。
「お粥作るって言ったのは
そういう話題をふれば
少しは場が和むかなって
そう思っただけで」
ホントは
言いだしたモノの
どうしようかと
思っていたのだという。
…ジュンジュンらしい。
「でも、私にでも
出来るようなモノが
あるのなら…」
頬を紅潮させた。
「おいしい作り方
しっかり覚えてね」
調理場で
道具と材料を分けて貰って
ジュンジュンが
レシピのメモをとる。
「好き嫌いがなかったか
調べてみて差し上げましょう」
ホテルのヒトが
親切にしてくれる。
調理場の顧客ノートには
いつどんなモノを出して
何を残したのか
こと細かく
書き残してあって。
ちいさい頃は
好き嫌いが酷くって
肉ばっかり食べてたと
ノートを覗き込みながら
ジュンジュンが懐かしんだ。