「ウッソおおおおおお!?」
おいおいおいおい。
その大袈裟な驚きようは
いくらなんでも
失礼だよ〜。
確かに新聞販売店の
ロゴが入った
ジャンパーを着て
集金袋を片手に
立っているその姿に
昔の面影はひとつも
なかったけれど。
「あ、新聞の集金ですよね」
気をきかせて
ジュンニイに私が催促する。
「違うんです!
実はお願いがあって」
「…お願い?」
ジュンニイの顔が曇った。
そうなのだ。
ジュンニイの中では
お母さんはまだ
あのヒモと切れずにいる
だらしない母親の
イメージのままで…。
「あのね。
お母さんは今
ひとりで暮らしてて
新聞配達のお仕事を
してるんだよ」
思わずフォローを
入れてしまっていた。
私のセリフに
何でそんなコトを
知ってるんだって
言わんばかりの
ジュンニイの表情が
ちょっと恐い。
「あのフランス出張のときに
偶然ここで遇って…」
聞かれてもいないのに
べらべら言い訳して
しまっていた。