「『彼』も
ヒメに逢ったら
勇気づけられるだろうし」
シューズクローゼットに
もたれかかりながら
ジュンニイは
ちょっと笑ってみせて
私にキスをする。
「ヒメと俺。
気持ちはひとつだから」
…あ。
「口説き落として
逢わせてやれ」
「うん…」
どんな顔をして答えればいいか
わからなくて
うつむいてしまった。
素直に笑うべきなのか
少し困ったふりをした方が
いいモノなのか。
「……」
ジュンニイの手が
うつむく私の頬に触れてくる。
「ヒメ」
私の髪を櫛毛して
たくさんのキスを贈ってきた。
そして私をお姫様だっこして
部屋の廊下を横歩きしながら
「日本の住宅事情って
やっぱり問題あるよな」
狭い廊下の造りに
クレームをつけている。
ジュンニイとしては
イマイチ決まらないその姿に
ちょっと不機嫌モード
なんだけど
軽々と私を持ち上げている
その腕のたくましさに
私はちょっと
感激してしまっている。
気がつくと
私は自分から
ジュンニイの首に
両腕を掛けていて
そのまま
ジュンニイからの
キスを受け入れていた。
「いい?」
ジュンニイが
私に問いかける。
私はまだ
何も答えては
いなかったのに
そのまま
寝室に連れ込まれる。
「…クマさんの箱
どこに隠してあるの?」
新郎の期待を
その身に感じた。