翌朝
実家から
たくさんの荷物が届いた。


「何があっても
帰って来るなってコト
なんだろうか」


教科書や夏の制服まで
送ってきていて

パパとママの徹底ぶりに
苦笑した。


業者のヒトが
梱包したっぽいその荷物達。

机の中とか
勝手に触らせて
荷物にするなんて

ちょっと
信じられないけれど。


「しょ〜がない」

私の為にと用意されていた
クローゼットが
ようやく役に立つときがきた。


あれ?

「何だろう。これ…」


クローゼットの内側の扉に

紙袋がぶら下げてある。


開けてみると
中には、ちいさな箱。


箱の中には

指輪がふたつ入っていた。


「あ…」

ペアリング。


ひとつはジュンニイので
もうひとつは私にってコト
なんだろうか。


でもサプライズにしては
間が変だし

ジュンニイにしては
演出があまりにもなさすぎで。


「…まさか
忘れてるだけじゃないよね」


指輪をそっと手にとってみた。


外見はシンプルな
リングなのに

青い宝石が指輪の内側で
こっそり光っている。

サムシングブルー。


何か青いモノを
ひとつ隠し持つ花嫁には
しあわせが訪れるという

縁起を担いだデザイン
なのかな。


石の隣りには
フランス語らしいコトバが
刻まれていて。


【Je vous protege】

何て意味なんだろう。


そして大きい方の
指輪の内側には


【C¥\'est ma chose】

それは

私が唯一書けるフランス語で


思わず苦笑した。