「間違いない。
私とジュンニイの結婚指輪だ」
いつから用意して
いたんだろう。
すぐにでも
渡したかっただろうに。
直接私に渡すのが
そんなに
恐かったんだろうか。
また目の前で泣かれて
自分が私の為だと
強引にしてきたコトを
否定されたらって
勇気が出なかったのかな。
もしかしたら
私がすでに見つけていて
リアクションを
先送りにしているのかもって
今このときも
不安にかられているのでは
ないのか。
「ゆっくりでいいから」
それは
婚姻届にサインを
戸惑っていた私にかけた
ジュンニイのコトバだった。
「…時間をくれてるんだ」
私がこの環境に対して
腹をくくる覚悟が出来るまで
黙って見守っていて
くれてるんだよね。
強引に全てを
運んでおきながら
「こんなマネして」
自分ばっかりオトナぶって
強ぶって…。
申し訳なさに
涙が止まらない。
ユッキにメールして
もうひとつのフランス語の
意味を調べて貰って
ますます
涙が止まらなくなった。
【Je vous protege】
《君を守る》
指輪に彫られた
ジュンニイの誓いのコトバに
私はまた
切なくなる。