夜遅くジュンニイが
酔っ払って帰ってきた。


初夜明けの新郎は
旧友達にずいぶん
飲まされていて。


テーブルの上に
置いてあった木彫りの熊に
挨拶したりして。

ご機嫌なせいなのか
酔っ払っているせいなのか。

どこか笑える。


「あ〜。
こんなトコで寝ないで!」

「ん〜♪」

ジュンニイの
少し解放されたってカンジに
ホッとする。


いっつも私のコトで
気疲れさせてきたからね。


「ヒメにゃ〜ん」

ソファーの上
ジュンニイが抱きついてくる。


「あ、コラ!
ちょっと、お酒くさ〜い!」

「ん〜。
湯たんぴょ気持ちい〜♪」


「私は湯たんぽじゃ
ありません!」


私に突っ込まれて
ジュンニイは
嬉しそうにしてる。


「まったく!」

ジュンニイは
酔っ払っててもかわいいな。


「はい。水飲んで!」

「ひとりで飲めにゃ〜い♪」


ロレツがまわってない
その口をびよ〜んと
引っ張ってやった。


「未成年に酔っ払いの相手
させてもいいのかな〜」


「…ふふん」

ジュンニイが
妖しい目をしてる。


「まだ酔ってないよ」


私の肩を抱いて耳元に
囁いてきた。


「ちゃんと
しゃべれるんじゃない!」

「…ちょっと
甘えてみたかっただけ」


私を背中から抱きかかえて

「ん〜〜〜」

いっぱい、いっぱい
抱きしめてきた。


「…みんなと飲んでても

ヒメが実家に
帰っちゃってたら
どうしようかって

気が気じゃなかったよ」


ジュンニイの表情は
私の肩越しで
確認できなかったけど

私の手をいじる
その仕草から

今日もあの指輪を
まだしてないんだって

がっかりしてるんだって
見当はついた。