「だけど、この目は
おまえ以外を見つめるコトを
最後まで許さなかったから」
『彼』は私に自分の気持ちを
無垢なままぶつけてくる。
「このカラダに
このココロに
おまえの姿だけを焼きつけて
何度もリピートするんだ」
目を開いて
天井を見つめているその姿は
あまりにも無防備で
どうにでもしてくれと
言わんばかりで。
「愛してしまって、ごめん」
「…そんなコト」
言わないで。
聞きたくないから。
『彼』のその潔さに
私は自分を
責めるしかなかった。
「苦しませてるって
わかってる」
「…もういいよ」
何も言わないでよ。
あなたは何も悪くない。
何も謝るコトは
ないんだから。
「…神様はきっと
俺のDNAをミスプリント
しちゃったんだよ。
壊れたレコーダー
みたいにさ。
おまえの姿だけを
ひたすら再生し続けてる」
「…私は…!」
私は喉まで出そうになった
本音を必死で噛み殺した。
今の私は
何も応えられないから。
応えてあげられないから。
「…あ…ぁ」
涙が勝手に溢れ出て
私に声を出すのを
ためらわせる。
何か言わなくちゃ。
そう焦れば焦るほど
涙が止まらなくなった。
「…いいよ。答えなくて。
俺の独り言だから」