音楽室。

「俺のコト
可哀想だとでも思ったの?」


あのときは

大声をあげて騒ぎ立てたら
可哀想だ

という意味だとばかり
思い込んでいて


何を自己陶酔
してるんだって
腹立たしかったけど。


自分が
同情されているんだと

いたたまれなかったん
だろうなって

今ならわかる。


『彼』は私にたくさんの
ヘルプ信号を送っていたのに

気づかなくて

気づけなくて…。

自分の落とした涙に
ハッとした。


「ダメだ!
こんな顔してちゃ!」


気持ちを入れ直し

沸いたお湯を
水で調節して

白湯を作った。


「『彼』の為に
何かするなんて

これが初めてかも」


そう思うと
やるせなかったけど

ジュンニイに頼んで

これからは
ジュンジュンといっしょに
『彼』の看病を
手伝わせて貰おう。


「うん!
そうだ、そうしよう!」


今からでも
遅くはないよね。


してあげられるコト
いっぱいあるよね。


なのに。

「…気分悪いの!?」

水差しを『彼』の口に
運ぼうとして

『彼』の異変に気がついた。