「苦しいの!?」

『彼』の呼吸が
早くおおきくなって

肩で息をしている。


「私のコトわかる!?」


意識はあるらしく
頷いては
みせるけど

声を出せずにいて


只事じゃないのは
私にもわかった。


「…ドクターを!」

電話の傍に
おおきく赤文字で描いてある
医務室の短縮番号。

慌てて
ダイヤルを間違えては
何度もかけ直す。


「やだ、もう!
こんなときに私ったら!!」


思い通りに
動けない自分にイラついて。


繋がったと思ったら

今度はコール音が
鳴り響いているばかりで…!


「嫌だッ!

もおおおおおおおおお!!!」


私のアタマは
完全にパニックしていた。


「待ってて!

医務室に行って
ドクターを連れてくるから!」


取り乱して叫ぶ私の腕を


『彼』が掴んだ。


「…傍に…いて」