泣き叫ぶ私の目の前の
エレベーターが開いて

ドクターと出くわした。


「医務室に
コールされたようですが」

「…よかったぁ…」


ドクターが神様に見える。


だけど

アタマが真っ白に
なっていた私は

『彼』の状態を
まともに説明できなくて。


ドクターは
コトの重大さを察知して
『彼』の元に急いだ。


ドクターがきてくれたから
もう大丈夫。


そう思ったのに。

安堵したのに。

私が看護師さんに
支えられて
部屋に戻ったときには


「延命処置は
しないで欲しいと
本人のご意思でしたから」


死亡時刻を宣告される。


「え?」

心臓マッサージとか
しないの?


ほらテレビドラマとか
ERのドクターが

「さがって!」とか言って
電気ショック与えるじゃない?


どうして?

まだだよ。
まだ間に合うから。

治療しようよ。


「ホテルの支配人と
ミスタースミスに
連絡しますね」


看護師さんまでも
淡々とその死を認めて

受け入れて…。


ちょっと

待って


「…こんなの、ダメだよ」

許されないよ。