まだあたたかい
『彼』のカラダを
抱き起こして

私は『彼』の背中を叩く。


「あと5分でいいから!

ジュンジュンとお母さんを
待ってあげてよッ!!」


ねえ!
ねえ!!


「待ってて
あげてよおおおお…!!」


叩き続けたのに

何度も何度も
叩き続けたのに


私の腕の中で

『彼』は
目を覚まさない。


『彼』の手は

もう私を求めない。


「ヒメミヤ」


そう私を呼んだのは
確かに『彼』だった。


「…傍に…いて」


『彼』の最期の願い
だったのに。


私は『彼』を

ひとりで
逝かせてしまった。


はらはらと

季節はずれの
なごり雪が降ってきて。


まだ咲き始めたばかりの
サクラの花を散らしていく。


あれ?

泣いてるの?


おかしいじゃない。


「何でそんなコトが
哀しいの?」


誰かが私を嘲笑う。


「大事にしなかったよね?」


最期まで

「愛してるって
言ってあげなかったよね?」


責め立てるのは


もうひとりの
私だった。






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